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SSI工法は、(財)鉄道総合技術研究所と高速道路総合技術研究所 NEXCO総研(旧日本道路公団試験研究所)との共同開発による塩害抑止工法です。高防錆型断面修復工法として、コンクリート中の塩分に直接作用する「塩分吸着剤」を活用して、他の防錆工法では実現できない下記の特長により、抜本的かつ長期的に塩害を抑止します。
コンクリート構造物の塩害とは、コンクリート中の鉄筋が錆びて膨張し、ひび割れやはく落を起こす現象のことです。通常、コンクリートの中の鉄筋は強いアルカリ性に保護され、鉄筋表面の膜(不動態被膜)を形成し、錆びない状態が保たれています。
コンクリート中に塩分が供給されると、塩化物イオンの存在により鋼材の腐食促進され、腐食生成物の体積膨張によってコンクリートにひび割れやはく離を引き起こすことになります。劣化現象としては、鉄筋に沿ったさび汁を伴うひび割れやはく離、鉄筋露出などが挙げられます。鋼材の断面現象などにより、構造物の性能が低下し所定の機能を果たすことができなくなる可能性があります。
施工時に、鉄筋のさびをケレンによって完全に除去することは不可能です。通常の断面修復工法では、鉄筋表面に残った錆が再劣化の大きな原因となります。
そこで、SSI工法では、残存さび層に存在する塩分を吸着し、錆の進行を抑止します。
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塩分吸着剤は正(+)に帯電させた層状構造を持ち、塩化物イオン(Cl-)を吸着し、予め保持させた亜硝酸イオン(NO2-)を放出します。
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SSI工法が従来の工法と決定的に異なるのは、鉄筋及びその周辺の塩分を低減し、鉄筋の腐食を長期的に抑止することです。
SSI工法のポリマーセメントモルタルには、特殊な「塩分吸着剤」が配合されており、コンクリート中の塩分や鉄筋の残存さびに含まれる添加物イオンに直接作用し、吸着・固定するので、抜本的かつ長期的に塩害を抑止する高機能防錆型の断面修復工法が可能です。部分断面修復後のマクロセル腐食対策としても有効で、高耐久性を実現します。
塩分吸着剤は、層状の構造を有するカルシウム・アルミニウム複合水酸化物で、層間に鉄筋腐食抑制効果のある亜硝酸イオン(NO2-)をもっています。
施工時には、事前調査により測定した鉄筋近傍の塩化物イオン量によってはつり深さを決定します。塩化物イオン含有量が鉄筋位置で10kg/㎥未満(Saタイプ)の場合であれば、下の図のように、はつり深さを低減することができ、断面修復工事費を縮減(補修コストの縮減)することができます。
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現場に即した塗布厚と施工パターンを設定できるため、合理的かつ経済的な補修が可能です。環境が厳しい条件(海岸線近くや融雪剤影響が高い箇所)の既設コンクリート構造物に対して鉄筋位置の塩化物イオン含有量10kg/㎥を超える事例にも対応できます。10kg/㎥未満であればはつり量を低減できます。
鉄筋位置の塩化物イオン量 | 施工パターン | |
---|---|---|
Sa断面 | Sd断面 | |
高性能防錆ペーストSJ1塗布厚(使用量) | ||
2kg/㎥未満 | 1㎜(1.4kg/㎥) | 塗布厚は設計要領を 参考に設定 |
2kg/㎥以上4kg/㎥未満 | 2㎜(2.8kg/㎥) | |
4kg/㎥以上6kg/㎥未満 | 3㎜(4.2kg/㎥) | |
6kg/㎥以上8kg/㎥未満 | 4㎜(5.6kg/㎥) | |
8kg/㎥以上10kg/㎥未満 | 5㎜(7.0kg/㎥) | |
10kg/㎥以上 | − |
※1:Sa断面は、鉄筋が部分的な表面錆(点錆・面錆)以下に限定して適用
※2:Sd断面は、鉄筋が広範囲な表面錆以上に適用
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